トリプルファンクーラー「Tri Frozr」を採用するオーバークロック仕様の「MSI GeForce RTX 2080 Ti GAMING X TRIO」をレビュー!

NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti搭載
MSIオリジナルトリプルファンクーラー「Tri Frozr」採用
コアベースクロック 1,350MHz
ブーストクロック 1,755MHz
メモリクロック 14,000MHz
11GB GDDR6 352bitメモリ搭載
DisplayPort×3、HDMI、USB Type-C 映像出力端子装備
ボード1枚で4画面出力が可能
自動オーバークロック機能「GPU Boost 4.0」に対応
NVIDIA Ansel、G-SYNC、NVLink対応
DirectX 12、OpenGL 4.5、Vulkanをサポート
NVLink SLIを実現するGeForce RTX NVLinkブリッジ対応
LEDカラーのカスタマイズが行える「Mystic Light」
MSI独自のユーティリティツール「アフターバーナー」株式会社アスク
インデックス
スペック
RTX 2080 Ti GAMING X TRIO |
RTX 2080 SUPER | RTX 2080 FE | RTX 2070 SUPER | |
製造プロセス | 12nm FFN | 12nm FFN | 12nm FFN | 12nm FFN |
GPUコア | TU102 | TU104 | TU104 | TU104 |
CUDAコア | 4352基 | 3072基 | 2944基 | 2560基 |
Tensorコア | 544基 | 384基 | 368基 | 320基 |
RTコア | 68基 | 48基 | 46基 | 40基 |
ベースクロック | 1350 MHz | 1650 MHz | 1515 MHz | 1605 MHz |
ブーストクロック | 1755 MHz (1545 MHz) |
1815 MHz | 1800 MHz | 1770 MHz |
メモリ容量 | GDDR6 11GB | GDDR6 8GB | GDDR6 8GB | GDDR6 8GB |
メモリスピード | 14 Gbps | 15.5 Gbps | 14 Gbps | 14 Gbps |
メモリインターフェース | 352 bit | 256 bit | 256 bit | 256 bit |
メモリ帯域 | 616 GB/s | 496 GB/s | 448 GB/s | 448 GB/s |
TDP | 300W (250W) |
250W | 225W | 215W |
カッコ内の値はリファレンスモデルのスペック。MSI GeForce RTX 2080 Ti GAMING X TRIO(以下 GAMING X TRIO)とリファレンスモデルの違いは、ブーストクロックとTDP(消費電力)となっている。
パッケージと付属品
黒い封筒のような入れ物、補助電源コネクタ1本、GPU本体を支えるサポートブラケットが付属している。
黒い封筒の中身はマニュアルやガイドが入っている。ドライバCDはないので、公式サイトからダウンロードする必要がある。正直、もうドライバCDなんて要らないだろう。必要なのは極一部の人だと思う。
マニュアルの中身はMSIのマスコットキャラクター「ラッキー君」が取り付け方法をマンガ形式で解説してくれている。普段メガネしてなかったような気がするのだが、組立時も付けているし老眼なんだろうか。とても可愛い。
ビデオカード本体サイズと出力端子
外形寸法 327 x 140 x 55.6 mmとなっている。重さは1582グラム。長さが327mmは、ケースによっては入らないと思うので購入前に自分のケースをしっかり確認しよう。
奥行きにも注意が必要。目視でブラケットから35mm程突き出している。補助電源コネクタの部分は10mm程引っ込んではいるが、幅の狭いケースでは補助電源ケーブルが取り付け困難になる可能性がある。
小さい方のファンサイズは85mm。
大きい方のファンサイズはふたつ共に95mm。
本体高さは55.6mmで、約2.8スロットサイズになる。
インターフェースは、DisplayPort x 3 (v1.4) / HDMI 2.0b x 1 / USB Type-C x1 となっている。最大同時出力は4画面となっている。管理人の環境で4K@60Hz(カラーフォーマットRGB)の4画面同時出力で問題なく使用可能なことを確認済み。
マルチモニターは接続端子をどの組み合わせで使用しても安定していたが、HDMIを混ぜると何故か消費電力が30Wほど上昇する。他のGPUでも同じだが、中には上がらないものもあるかも知れない。消費電力が気になる人はDisplayPortかUSB Type-C(モニター側がDisplayPort入力)の組み合わせが良い。
DisplayPort出力及び、USB Type-C出力はモニター側がAdaptive-SYNC対応であれば、Adaptive-SYNCで動作させることが可能。これも4画面同時出力にして全てのモニターがAdaptive-SYNCで動作することを確認済み。まぁそんな環境の人はごく僅かだと思うが念の為。
※Adaptive-SYNCとは、FreeSync対応ディスプレイでG-Syncを動作させる機能のことである。FreeSync/G-Syncとは、ディスプレイのリフレッシュレートに対してFreeSync/G-Sync対応のGPUのフレームレートを同期させる機能であり、テアリングやちらつきが低減または排除される。
ビデオカード本体外観
組み付けてみる
付属のGPUサポートブラケットを一緒に取り付けてみたが、このブラケットかなり微妙。
よく見ると端の方にちょこんと乗っかっているだけである。このブラケット左右にブレるので、気づいたらズレて外れていることがある。GPU側の接触する部分が少し斜めになっているので、構造上仕方ないのだろう。GPU本体に上手く収まる溝みたいなものがあれば良かったと思う。今後改善されることを願う。
見た目を気にしないなら長尾製作所の「VGAサポートステイ」という製品が良い。ヒートシンクの端にステーが入るスペースがあるので、非常に安定した取り付けが可能。
RGB LEDに関して
MSI純正ユーティリティの「Mystic Light 3」で制御が可能。「Dragon Center」をインストールすればこちらからでも制御が可能。
検証
軽く検証してみる。CPUはRyzen 9 3950X Precision Boost Overdrive有効。メモリ速度は3600MHz。ベンチマークソフトは「FF14 漆黒のヴィランズ」を使用する。ベンチマークの設定は、フルHD、WQHD、4Kをそれぞれ最高品質の設定で行う。室温は22℃。ケースファンはDefine R6標準で付属しているものを使用し、回転数は600回転で固定。
パソコン構成
CPU | AMD Ryzen 9 3950X |
メモリ | G.Skill TridentZ Neo F4-3600C16D-32GTZNC |
マザーボード | MSI MEG X570 ACE |
電源ユニット | Seasonic PRIME Titanium 1000W |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 2080 Ti GAMING X TRIO |
PCケース | Fractal Design Define R6 |
流石に4K解像度は重い。60フレームを目安にするならWQHDが丁度良いか。
レポートを出力してデータをグラフにしてみた。
フルHDは負荷が軽くてGPU使用率が半分くらいを彷徨っていたので、正確な測定になっていないかも知れない。フルHD~WQHD解像度であればストレスなく快適に動作する。フルHDとWQHDの最小フレームレートは何回か試してもほぼ同じであった。4Kだけフレームレートがかなり低いが、管理人の環境が悪いのか・・・。
GAMING X TRIOのクーラーはオリファンモデルの中では最高クラスの冷却&静音性能を誇る。セミファンレス仕様なので、負荷が低い状態ではファンの動作は停止する。GPU温度50℃以下であれば停止するようになっている。「HWiNFO」を使ってログを取り、GPU温度をグラフにしてみた。
ケースに入れた状態での検証なので、十分な冷却性能であると言える。消費電力は最大負荷時GPU-Z読みで丁度300W、4Kで検証しているときは概ね270~300Wであった。これだけの熱を70℃台に抑え込んでいるのは驚愕である。しかもコイル鳴きは殆ど聞こえない。
GAMING X TRIOはオーバークロックモデルなのでコアクロックが非常に高い。高負荷時は1900MHz辺りまで上昇し、冷却が追いついている限りこれを維持する。管理人の入手した個体では、1900~1960MHz辺りで推移し、瞬間で1980MHzに届く。当然リファレンスモデルに比べ消費電力が大きいが、ウルトラハイエンドのGPUを買う層はそんなことは気にしないだろう。リファレンスモデルと比較して消費電力に見合った性能が出ているのかは微妙なところだが。
【追記:2020/6】
下記のグラフは、Ryzen 9 3900X メモリ速度3600MHzの設定で手持ちのビデオカードを比較したもの。全てオリファンモデルなのでメーカーによる多少の誤差はあると思う。
総合評価
○ 良いと思った点
- オリファンモデルトップクラスのブーストクロック
- 非常に高性能なクーラー
- コイル鳴きはほぼ無し
✕ 悪いと思った点
- サポートブラケットが微妙
- 凸型形状の基板はデザイン的に微妙
- 人によってはコスパが悪いと思う
GAMING X TRIOは、RTX 2080 Tiの中で比較して高価である。安価なモデルだと13万円台から購入できるが、GAMING X TRIOは2020年3月現在、16~18万円程である。単純にGPUの性能だけを考えればコストパフォーマンスは良いとは言えない。しかし、GAMING X TRIOはRTX 2080 Tiの中ではハイスペックであり、コアクロック、冷却性能、静音性、品質、どれをとってもトップクラスである。価格に見合う価値があるかどうかと聞かれれば、管理人は迷わず「ある」と答える。発売当初は20万円位だったので、それを知っていると今の価格は安いと感じてしまう。まぁ発売から1年以上経っているし、妥当なところだろう。
下位のモデルと比較すると、RTX 2080 Tiの市場価格はRTX 2080 SUPERの平均的な価格と比較して概ね1.5倍である。性能に対するコストパフォーマンスを考えると良いとは言えない。しかし、それはGPUだけでなく他のパーツでも言えることである。RTX 2080 Tiは、コスパなんて知るか!どうしても性能を優先させたい!ベンチ走らせてニヤニヤしたい!という、金に糸目をつけない変人向けのGPUと言えよう。
RTX シリーズ レビュー




