「ASRock X570 Steel Legend」X570シリーズ超定番マザーボードをレビュー

4.0

ミドルクラスの鉄板!Steel Legendシリーズの「X570 Steel Legend」をレビュー!

ASRock X570 Steel Legend
AMD AM4 ソケット Ryzen™ 2000, 3000, 4000 G-Series, 5000 および 5000 G-Series Desktop Processors10 電源フェーズ設計DDR4 4666+ (OC)2 PCIe...

マザーボード本体と付属品

マザーボード本体。

付属品は必要最低限。マニュアル、ドライバディスク、メモリスロットの注意書き、SATAケーブル4本(ストレート、L字各2本)、M.2スロット用ネジ類、ポストカード等。

ASRockのマザーボードは結束バンドで固定されているので、ニッパーがあると便利。

マザーボード本体外観

電源部のフェーズ構成は10フェーズとなっている。B450 Steel Legendは6フェーズだったので、10もあれば十分である。

CPU補助電源コネクタは8+4ピンとなっている。

最近のマザーボードは2段目にPCIe×16プライマリスロットがあるのだが、X570 Steel Legendは1段目にある。2段目の×16スロットが5段目にあるので、3スロット厚の大きいビデオカードを取り付けても、2段目の×16スロットとは1段空くようになる。これは人によっては嬉しい設計であろう。

各スロットの帯域は上から、×16 N/A ×1 ×1 ×4 ×1 N/A となっている。Ryzen 3000シリーズ(一部モデルを除く)であれば、全てGen4(PCIe 4.0)接続に対応している。当然だが、ビデオカードを取り付けるなら×16プライマリスロットになる。尚、このプライマリスロットのみ15μ ゴールドコンタクトを採用している。

1段目のM.2スロット(M2_1)はCPU直結スロット、2段目のM.2スロット(M2_2)はチップセット接続のスロットになる。5段目の×16スロットはM2_1との排他制限が無いことから、チップセット接続であることが分かる。基板の配線を見れば一目瞭然だが。

5段目の×16スロットとM2_2を併用すると場合によっては帯域不足になる。CPUとX570チップセットの接続は×4なので当然の話である。二つのM.2スロットと5段目のスロットにM.2アダプターを付けてNVMe SSD 3枚でRAID0だー!なんてことをしても、CPUとチップセット間の帯域がボトルネックになり速度は上がらない。まぁこのマザーボードでそんなことをする人はいないと思うが。

良くハイエンドモデルで見られるバックプレートは無し。

M.2スロット用ヒートシンクはアルミ製で質量は十分。

チップセットヒートシンクには、冷却用のファンが搭載されている。調べてみたら、スリーブベアリング入りの高耐久のものだそう。PC起動時に超高速で回るとかなりうるさいが、起動後に普通に使用するのであればそんなに回転は上がらない。熱伝導シートが貼ってありM.2スロット用ヒートシンクに熱を逃がす設計になっている。

1段目M.2スロット(M2_1)と、M.2 WiFi用スロット。

2段目M.2スロット(M2_2)。PCIeスロットと同様に、Ryzen 3000シリーズ(一部モデルを除く)であれば、どちらのM.2スロットもGen4 x4接続に対応しており、SATAモードでも動作する。M2_1はCPU直結スロットで、M2_2がチップセット接続スロットになる。M.2スロットはPCIeスロットとの排他制限は無いが、Thunderboltサポートを有効にするとSATA接続は使えなくなる模様。

– 1 x ハイパー M.2 ソケット (M2_1), M キータイプ 2230/2242/2260/2280 M.2 PCIe モジュール、および、最大 Gen4 x4 (64 Gb/s) (Matisse の場合)、または、最大 Gen3 x4 (32 Gb/s) (Picasso、Pinnacle Ridge の場合) に対応*
– 1 x ハイパー M.2 ソケット (M2_2), M キータイプ 2230/2242/2260/2280/22110 M.2 SATA3 6.0 Gb/s モジュール、および、最大 Gen4x4 (64 Gb/s) までの M.2 PCIe モジュールに対応*

*Thunderbolt™ サポートを有効にすると、SATA タイプ M.2 は無効になります。
起動ディスクとして NVMe SSD に対応
ASRock U.2 キット
RAID 0/1/10 をサポート
ASRock公式サイト

メモリスロットは片側にラッチが付いているタイプ。お馴染み15μ ゴールドコンタクトを採用している。

SATA3ポートは8本あり、これらも排他制限は無い。

ファンヘッダーはCPU用含め合計6本ある。

なんと、フロント音源ポートにも15μ ゴールドコンタクトを採用している。贅沢。

内蔵オーディオチップは、Realtek ALC1220 オーディオコーデックが搭載されている。

後部出入力ポートは左から、DisplayPort 1.2 HDMI、PS/2 マウス/キーボード、USB 3.2 Gen1 ×2、USB 3.2 Gen1 ×2、USB 3.2 Gen2 Type-A USB 3.2 Gen2 Type-C、RJ-45 エリアネットワークポート USB 3.2 Gen1 ×2、アンテナポート、HD オーディオコネクタ となっている。オーディオコネクタは金メッキ端子を採用。

バックパネルは組みつけ済みになっており、多少遊びがある。ケースによっては個体差で取り付けにくかったりするので、これは地味に嬉しいポイント。

動作について

購入してからひと月ほど使用しているが、動作は非常に安定している。CPUはRyzen 9 3900X、クーラーはコルセアの簡易水冷を取り付けて動作させている。

VRMヒートシンクの冷却性能はなかなか優秀で、定格クロックであればパッシブ空冷でも問題ない。しかし、ハイエンドクラスのマザーボードと比較すると冷却性能は劣っているようで、オーバークロックするとかなり発熱するようになる。Ryzen 9 3950Xだと、オーバークロックをしなくとも断続的に負荷をかけるとヒートシンクはかなり熱くなる。空冷クーラーであれば問題ないが、パッシブ空冷であればヒートシンクに風を当ててあげないと厳しいかも知れない。

メモリの動作に関しては、3600MHzオーバークロック対応のメモリ4枚をXMPプロファイルを読み込ませただけの雑な設定で使用しているが、こちらも問題なく動作している。

ストレージやドライブ等の動作も安定しており、今のところトラブルは無い。

気になる耐久性なのだが、まだ使用期間が短いので何とも言えない。ASRockは高耐久を売りにしているので問題ないだろう。

チップセットファンについて

X570 Steel Legendのチップセットファンはスリーブベアリング入りの高性能なファンが搭載されている。PCIe×16プライマリスロットと被る位置にあるが、ビデオカードを取り付けた状態で使用していても温度やファンノイズが気になることは無い。アイドリングは55~60℃、高負荷時で75℃以下に収まっている。ファンの回転数は3000回転辺りまで上昇するが、意識しないと分からないレベルのノイズである。静音ケースであれば気になることはないだろう。しかし、4000回転近くまで上昇するとハッキリとノイズが聞こえるので、気になる場合はUEFIで動作モードをサイレントモードに設定すると良い。デフォルトでは冷却重視のパフォーマンスモードになっている。中間が標準モード。

以前使用していた「ASRock X570 Phantom Gaming X」のチップセット温度は、アイドリングで60℃半ば、ビデオカードが高負荷だと80~90℃まで上昇していた。X570 Steel Legendと似たような配置にもかかわらず、チップセット温度は高い状態であった。まぁPhantom Gaming Xが特殊なのかもしれない。X570 Steel Legendのチップセットクーラーの冷却性能は必要十分で、通常使用で問題になることはないだろう。

チップセットクーラーの性能においてはMSIが優秀なので、ノイズが気になる人はこちらを選択した方が良い気がする。↓は一例。

総合評価

○ 良いと思った点

  • 極めて安定した動作
  • 非常に高いコストパフォーマンス
  • PCIeスロットやストレージの排他制限無し

✕ 悪いと思った点

  • オーバークロックにはあまり向いていない気がする

 

このマザーボード最大の魅力はコストパフォーマンスの高さだろう。ハイエンドに迫るスペックでありながら、X570マザーボードの中ではミドルクラスの価格設定になっている。12~16コアのハイエンドCPUの動作は問題ないし、需要の高い機能は備わっている。

Steel Legendシリーズは高耐久を謳ってはいるが、だからと言ってオーバークロックに向いているのかと言ったらそうではない。電圧を上げるとVRMの発熱が大きくなり、CPUによってはVRMヒートシンクに風を当ててあげないと冷却不足でサーマルスロットリングが発生する場合がある。負荷の大きいハイエンドCPUを基準に考えるのであれば、素直にハイエンドマザーボードを購入しよう。

褒めてるだけではレビューにならないので悪いところも探したが、これといって欠点が見当たらない。強いて言えばオーバークロックに不向きな気もするが、そもそもオーバークロックをするためのマザーボードではない。3900X定格クロックならパッシブ空冷で問題なく使用できるので、VRMの発熱は欠点にならないだろう。

X570 Steel Legendは、X570マザーボードの中では間違いなくコスパ最強のマザーボードである。

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