「AMD Ryzen 9 3950X」オーバークロックしてみた!

手持ちのRyzen 9 3950Xがなかなかの当たりCPUっぽいので、今更ながら軽くオーバークロックしてみた。

AMD Ryzen™ 9 3950X
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ゲームをしていて3950Xの動作クロックがあまり上昇していないことに最近気づいた。このCPUのブーストクロックは最大4.7GHzなのだが、比較的重いゲームをしていても最大クロック4.5GHzであった。コアのひとつくらい4.7GHzになっても良いと思うが、何度確認しても4.5GHzである。

3950Xのシングルスレッド性能はRYZENの中では非常に高性能であるが、実際にクロックが上がらなければ意味が無い。まだまだ負荷が軽くて上がらないのか、元々上がりにくいのか、それとも管理人の環境が悪いのか不明である。コアクロックが4.7GHzに張り付かない原因を探るのも面倒なので、手動でオーバークロックしてみることにした。

全コア同一クロックでオーバークロックする場合、3950Xや3900Xの動作クロックは4.3~4.4GHzが壁になっているようで、ハズレ個体だと電圧盛々でもOSすら起動しない模様。3950Xや3900Xは選別チップだろうしハズレはなかなか無いとは思うのだが、ネットで調べるとたまにあるようだ。幸いなことに、管理人の元にある3950Xは軽く検証してみたら良い個体である事が判明した。

はじめに言っておくが、ブーストクロックである4.7GHzに拘っている訳ではない。3950Xの性能に不満はないし、そもそもシングルスレッド性能をそこまで求めていない。個人的には、全コア同一クロックであれば4.0~4.2GHz辺りで動作していれば十分だと感じる。

ちなみに、RYZENはマザーボード任せの自動設定にしておくと安定性を重視して電圧がかなり高くなる。電圧が高いということは、消費電力も高いということである。消費電力と発熱量は比例するので、当然CPU温度も高いということになる。電圧を適切に調整すれば、性能を殆ど下げずに消費電力を大きく抑えることも可能である。RYZENの発熱に閉口している人は色々と試してみるのも良いだろう。

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オーバークロックしてみる

※オーバークロックはメーカーや代理店の動作保証対象外になるので自己責任で行うこと。

今回は3950Xで検証することにしたが、どのようにオーバークロックするのか決める必要がある。最初に決めるのはコアの動作クロックであるが、全てのコアの倍率を同じにする方法がオーソドックスでありOCの基本である。各コアの倍率を個別に設定する方法もあるが、コア数が多いCPUだと突き詰めるのが難しく、時間もかかる。今回は全てのコアの倍率を同じにし、動作クロックを固定にする方法で行う。

次に、コア電圧のモードであるが、これも何通りかある。メーカーによって各モードの呼び名は異なるのだが、今回はmsiマザーボードのUEFIを参考に説明してみる。

  1. Override Mode:コア電圧を常に一定にするモードで、UEFIで初期設定されているモードである。所謂、固定モードである。
  2. Adaptive Mode:CPU負荷の状態により電圧が変動するモード。低負荷では電圧が下がり、高負荷では電圧が上がる。定格動作の自動だとこれと同じ状態になる。
  3. Offset Mode:既定値の状態からプラスもしくはマイナスのオフセット電圧を加えるモード。主に電圧を下げる目的で使用されることの多いモードであるが、電圧を下げると低負荷時やアイドル時に不安定になる。
  4. Override+Offset Mode:Override ModeとOffset Modeを合わせたものである。
  5. Adaptive+Offset Mode:Adaptive ModeとOffset Modeを合わせたものである。

基本的にオーバークロックは「Override Mode」が推奨されている。今回は、Override Modeに設定する。

第2世代以降のRYZENは「Precision Boost Overdrive(PBO)」という機能があり、冷却に余裕がある場合はオーバークロックが自動で働くようになっている。コアクロックを固定にする場合はUEFIでこの機能を無効にしておく。管理人の環境だと自動でも有効でも特に問題なく動作するのだが、念の為。

「Load-Line Calibration(LLC)」は安定性を重視するなら高めの設定で構わないが、管理人はマザーボード任せの自動にしている。補正が強いと発熱が多くなるので、冷却に余裕がない場合は低めの設定にしておくと良い。というより、冷却に余裕がないなら素直にコア電圧下げるか動作クロックを下げよう。

今回はコア電圧を固定にするので、省電力機能である「Global C-state Control」、ブースト機能である「Core Performance Boost」はそれぞれ無効にしておく。最近のマザーボードは頭がいいので両方自動のままでも特に問題なく動作するが、不安定になるようであれば無効にしておく方が良い。

下記の記事で画像付きで解説しているので、設定方法を見たい人はこちらを参考にして頂ければ幸いだ。

「AMD RYZEN CPU」オーバークロックの設定方法を解説
AMD RYZEN CPUの基本的なオーバークロックの設定方法を画像多めで解説するお!

また、オーバークロックが良く分からないという初心者向けに下記の記事で詳しく解説しているので、興味のある人は是非読んで頂きたい。

初心者向けのCPUオーバークロックとメモリのXMP設定方法
自作パソコンを作っている(使っている)人であれば、限界性能を引き上げるCPUのオーバークロックとメモリのXMP設定について気になる人は多いと思う。熟練のジサカーにとっては当たり前で簡単なことでも、初心者にとっては難しいもの。しかし、これらは...

オーバークロックの方法を決めたら、コアクロックとコア電圧を決める。コアクロックは3950Xの壁と言われている4.3GHzで固定し、コア電圧は1.30Vから徐々に下げていく方法で検証してみる。ベンチマークソフトの「Cinebench R20」を10回程度連続で実行してみて、エラーが出なければOKとする。

以下は、今回の検証で使用するパソコンの構成。室温は25℃で、まな板ケースではなく通常のケースに入れた状態で行う。クーラーは空冷最強の「NH-U12A」を使用する。グリスは「シミオシ OC Master SMZ-01R」ネコグリスを塗布してある。

パソコン構成

CPU AMD Ryzen 9 3950X
CPUクーラー Noctua NH-U12A
メモリ G.Skill TridentZ Neo F4-3600C16D-32GTZNC(速度3600MHz)
マザーボード MSI MEG X570 ACE
電源ユニット Seasonic PRIME Titanium 1000W
PCケース Fractal Design Define 7

検証した結果のスクショを載せてみる。サイズが大きいので注意。

コア電圧 1.3000V

コア電圧 1.2875V

コア電圧 1.2750V

コア電圧 1.2625V

以下の表は、結果をまとめたもの。値は、何度か実行し平均に近いものを採用した。

最大CPU温度(℃) 最大消費電力(W) Cinebench R20 ワットパフォーマンス
1.3000V 93.9 215.8 10054 46.58
1.2875V 91.3 210.6 10030 47.62
1.2750V 89.8 204.2 10002 48.98
1.2625V 87.9 198.7 9944 50.04
1.2500V 86.5 193.9 Error
1.2375V OS起動不能

UEFIでのコア電圧は0.0125V刻みでの調整になる。管理人の環境だと、OSが起動するコア電圧の下限は1.2500Vで、1.2375Vでは起動しなかった。1.2500VではOS自体は起動するものの、Cinebench R20を動作させると途中で止まってエラーが出てしまうことがあった。完走することもあるが、Cinebench R20はそこまで負荷の高いソフトではないため、10~20回走らせて一度エラーが出るようだと安定しているとは言い難い。

CPU温度に関しては、Cinebench R20を連続で実行しているのでそれなりに高くなっている。ワットパフォーマンスは、Cinebench R20のスコアを最大消費電力で割ったもの。電圧が低くなるにつれてワッパが上がっている。環境によってデータにバラツキがあるだろうし、これらの値は参考程度にお願いしたい。

ちなみに、コア電圧1.2625Vで「Cinebench R15」も検証してみたが、動作に問題はなかった。

コア電圧 1.2625V

これらの結果を見ると、全コアの動作クロックを4.3GHzにした場合、安定動作するコア電圧の下限は1.2625Vとなる。全コア4.2GHzでも、個体によっては1.30~1.35Vを要求されるものがあるようなので、この個体はなかなか良い方だと思われる。

とりあえず、動作クロックを全コア4.3GHz、コア電圧は安定性を重視して1.2750Vで常用することにした。エンコードで長時間負荷をかけてテストしてみたが、CPU温度は85℃前後で落ち着いていた。3950Xは定格でもかなり温度が高いので、90℃を下回っていれば比較的安全であると言える。心配性な人は80℃を目安にすると良いかも知れない。ちなみに、定格動作(Precision Boost Overdrive有効)でCinebench R20を実行すると、クーラーがNH-U12AでもCPU温度は82℃辺りまで上昇する。

ついでなので、全コア4.2GHzのコア電圧の下限も探ってみた。

コア電圧 1.2000V

4.3GHzでの下限が1.26V辺りなので、4.2GHzなら1.20Vでも大丈夫だろうと適当に設定してみたが、これが当たりだった。コア電圧を1.1875Vに下げたところ、3回目のベンチテストでエラー。ダメ元で更に1.1750Vに下げたら、OS起動後にフリーズしてしまった。全コア4.2GHzでのシステムが安定するコア電圧の下限は、1.20Vという結果になった。う~ん、当たりCPUなのか良く分からん。

最大CPU温度(℃) 最大消費電力(W) Cinebench R20 ワットパフォーマンス
1.2000V 80.8 173.6 9719 55.98
1.1875V 79.0 166.4 Error
1.1750V OS起動後フリーズ
1.1625V OS起動不能

まとめ

~RYZENオーバークロックUEFI設定方法まとめ~

  1. コアの倍率「CPU Ratio」を設定する。
  2. 電圧モード「Override Mode」を選択し、コア電圧を設定する。
  3. 「Precision Boost Overdrive」を無効にする。
  4. 「Global C-state Control」を無効にする。
  5. 「Core Performance Boost」を無効にする。マザーボードのモデルによっては、コア倍率が固定モードだと自動で無効になる。

これがRYZEN環境でのオーバークロックの基本的な設定方法になる。

全コア4.4GHzでの検証も続けて行うつもりでいたが、今の環境だとかなり厳しい。360サイズの簡易水冷が手に入ったらまた検証したいと思う。11月5日に次世代のRYZENが発売されるので、入手できればこちらも検証しようと思う。

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