【雑記】「Ryzen 9 5950X」メモリオーバークロックが安定しないでござる

第4世代Ryzen環境でのメモリOCの安定性が悪いのでなんとかしたいお・・・。

能書き

先月発売された話題の第4世代Ryzenであるが、上位グレードは入手困難な日々が続いている。こういう新製品は、発売日に秋葉原に出向いてショップに並べば割と購入できる。しかし、コロナの影響があるので今回は外出しないでネット通販で購入した。そもそも生活に必須なものでもないしリスクを犯して急いで購入する必要は無い。予約して早めに届けばラッキー程度の気持ちでいたのだが、運が良いのか今月に入ってすぐに物が届いた。

購入したのは「Ryzen 9 5950X」で、第4世代Ryzenシリーズでは最上位グレードのCPUである。サブ用に「Ryzen 9 5900X」も予約しているのだが、こちらはいつになるか分からない。・・・え? インテル? 知らない子ですね。

https://www.amd.com/ja/products/cpu/amd-ryzen-9-5950x

届いてからというもの、5950X自体のオーバークロックやメモリのオーバークロックを試しているのだが、メモリの方がなかなか安定しない。メモリには相性(個人的に相性という表現は好まない)があるので、メモリが何枚かあるなら取り替えて試してみる方法が最も手軽である。手元に10枚ほど3600MHz辺りまでオーバークロック可能なメモリがあるので全部試してみたが、状況は変わらなかった。

管理人の場合、安定しないというよりはUEFI(BIOS)が起動しないという言い方が正しい。普通はパソコンの電源を入れれば何事もなくUEFIが起動するが、ひどいときはほぼ100%起動しなくなる。起動さえしてしまえばその後の動作に問題はない。オーバークロックをしなければド安定なので、普通に使用するのであれば全く問題ない。他のマザーボードに変えても症状は同じだったので、この時点でCPUかUEFIに問題があることが分かる。

使用しているAGESA BIOSバージョンは「AGESA ComboAm4v2PI 1.1.0.0 Patch C」で、正式に(?)第4世代Ryzenをサポートしているバージョンである。一応、前の1.0.8.0でも普通に起動はするのだが、性能を出すには1.1.0.0以降が良いとのこと。

バージョンを変更することでメモリ周りの安定性が向上する事は多いが、使用しているMSIマザーボードでは今現在1.1.0.0がひとつだけなので、このバージョンしか利用できない。こちらでできる事は、メモリ速度や電圧の設定である。AMD SMART ACCESS MEMORYを利用可能な最新のベータバージョンはあるので、何をやっても改善しないのであれば、最終手段でそのバージョンを試してみるつもりである。

ネットで情報を集めてみると、現在のバージョンではメモリ周りの安定性が悪いらしく、難儀している人もいるようだ。第3世代Ryzenが発売された直後も同じ状況だったので、安定するUEFIのバージョンがリリースされるまでは待つしかない。CPU自体が不良品の可能性はゼロではないので、早く5900Xが届いて欲しいところである。

※ベータバージョンはサンプルのソフトウェアなので、日常使用するパソコンで利用するのはリスクが高い。利用する場合は自己責任で。

メモリオーバークロックで試したこと

とりあえず、メモリオーバークロックで試したことは以下。

  1. 動作周波数を妥協する
  2. メモリ電圧を上げる
  3. メモリタイミングを緩める
  4. Infinity Fabric Divider を有効にする
  5. XMPプロファイルを利用しない

この5つである。主に使用するメモリはG.SkillのTridentZ Neoシリーズのメモリで、スペックはDDR4-3600MHz CL16-19-19-39 1.35Vとなっている。速度は3600MHzなので、今回はこの速度を目標にする。3600MHzであれば、メモリ動作モード(Infinity FabricとDRAM Frequencyの比率)を1:1にできるのでパフォーマンスが高い。3800MHzまで上げると安定させるのが難しくなるので、個人的に好むのは3600MHzである。メモリのオーバークロックやInfinity Fabricに関しては下記の記事で解説しているので、興味がある人は是非読んで頂きたい。

「G.Skill TridentZ Neo F4-3600C16D-32GTZNC」オーバークロックしてみたので設定方法を解説
「G.Skill TridentZ Neo F4-3600C16D-32GTZNC」を2セット使ってオーバークロックしてみたので、UEFIの設定方法を簡単に解説してみる。

結論だけ先に言うと、UEFIをAMD SMART ACCESS MEMORYを利用可能な最新のベータバージョンに更新することで問題はほぼ解消された。

動作周波数を妥協する

まず最初に試したのが、UEFIの設定において一番確実で手軽な方法であるメモリの動作周波数(メモリ速度)を妥協することである。これは2666や3200等の数値でメモリのスペックや型番に表記されていることが多い。値が高いほど動作周波数が高くなるので処理速度が上がる。当然であるが、高ければ高いほど安定させることが難しくなるので、この動作周波数を妥協して安定させようという試みである。

まずはXMPプロファイルを読み込ませてから再起動をする。この時点でマザーボードのデバッグコードに01や07が表示されてUEFIが起動しない、先が思いやられる。何度かリセットをすることで無理やりUEFIに入る。XMPプロファイルのままだと厳しいので、メモリ速度を3600から3200に設定し、他はXMPプロファイルのまま。この状態でもUEFIの起動に失敗することが多々あるので速度が原因ではなさそうである。2400や2666等、3000MHz以下であればUEFIの起動に失敗することはないし、第3世代Ryzenでは速度が4400MHzでも安定していたので、やはりUEFIに問題があるのだろう。マザーボードは正常である。

メモリ電圧を上げる

次に試したのがメモリ電圧の昇圧である。XMPプロファイルを読み込ませるとメモリ電圧が1.35Vに設定されるのだが、1.40Vや1.45Vを試してみた。速度も3600や3300を試してみたが症状は変わらず、UEFIの起動に失敗する。OSが起動してしまえば1.35Vでも安定しているので、メモリ電圧も原因ではなさそうだ。試しに秘蔵のメモリに差し替えて速度4400MHz電圧1.50Vで無理やり起動させてみたが、OS起動後の動作は極めて安定していた。

メモリタイミングを緩める

こちらも安定させるのに有効な手段である。メモリのタイミングはXMPプロファイルだと「CL16-19-19-39」となっているので「18-22-22-42」のように少し緩い設定に変更してみる。もっと緩い設定を試してみても状況は変わらなかったので、こちらも原因ではなさそうである。同時にメモリ速度や電圧を変えても状況は変わらない。

そもそも、UEFIが起動しないのは、速度、電圧、タイミングが原因ではないだろう。この程度の調整で改善するようであれば、XMPプロファイルを適用した状態で頻繁に起動不能に陥ることは無い。起動さえしてしまえば安定しているので、オーバークロックの設定に問題はないのだ。

Infinity Fabric Divider を有効にする

この方法はより高速なメモリで行うものなので、3600程度の速度で有効にすると、全体的にパフォーマンスが落ちる可能性がある。メモリ速度が3600MHzの場合、Infinity Fabric Dividerが無効であればInfinity Fabricは1800MHzとなる。Infinity Fabric Dividerを有効にするとInfinity Fabricは半分の900MHzとなる。とりあえず安定するのか試すだけなのでInfinity Fabric Dividerを有効にして試してみたが、こちらも大した効果は無かった。当然の結果である。

XMPプロファイルを利用しない

管理人がメモリオーバークロックで行う最終手段。XMPプロファイルを読み込ませずに手動で設定する方法である。手動とは言うものの、動作させたいメモリ速度を設定し再起動するだけである。他の設定項目はこちらで変更しなければマザーボードが安定する値に自動で設定してくれる。つまり、マザーボードに全部任せてしまおうという方法である。

XMPプロファイルは完璧ではないので、思い切ってマザーボードに任せることは割と重要である。管理人の経験上、XMPプロファイルを読み込ませるよりマザーボードに任せた方が安定性が高い。XMPプロファイルに拘りが無いのであれば、マザーボード任せにしてみるのも一興。

とりあえず、メモリ速度のみを3600に設定してみたが見事再起動に失敗。リセットを何回か押して無理やりUEFIを起動。メモリ電圧が1.35Vとなっていたので、1.40Vに昇圧。タイミング等他の項目はマザーボード任せの自動設定。他にも色々と試してみたが状況は変わらず。

ええ、分かっていましたとも。焼け石に水である。この程度で改善されれば苦労しないんだよなぁ。

番外:ベータバージョンのUEFIを利用する

一番やりたくない方法である。UEFIをベータバージョンに更新し、XMPプロファイルを利用せずに手動で設定を行う。設定内容は、メモリ速度を3600に設定し、他はマザーボード任せ。メモリタイミングがどうなっているか確認してみたところ、XMPプロファイルで読み込まれる値と同じ値が設定されていた。

ベータバージョンに更新することで問題が解消されたようで、数日この状態で使用しているがUEFIの起動に失敗することはなくなった。XMPプロファイルを読み込ませる設定にしたり、他のメモリに取り替えてみても、特に問題はなかった。

メモリ動作モードを1:1にしつつメモリ速度を3800MHzに設定しても安定している。CL16でも安定しているのは予想外だったが、不安定になるようであれば「3733 CL17-19-19-39」のような設定にしても良いだろう。しばらく様子を見て、問題があれば追記したいと思う。

ベータバージョンのUEFI更新内容は調べても分からなかったので、メモリ周りが改善されているのかは謎である。もしかしたら修正が入っているのかも知れない。ただ、メモリが安定しても他にどのような影響が出るのかはまだ不明、ベータだし。

まとめると、オーバークロックの設定やハードに問題はなく、UEFIが原因である。

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